日本茶の種類と特徴 お茶の覚え手帖|玉露・煎茶・ほうじ茶の違いがスッキリわかる!温度で変わる味の秘密も解説

日本茶の種類と特徴 お茶の覚え手帖|玉露・煎茶・ほうじ茶の違いがスッキリわかる!温度で変わる味の秘密も解説

知れば知るほど面白い!伝統的でも科学的に理にかなっていた日本茶の世界

日本茶と急須

日本茶は、日本の文化と深く結びついた飲み物であり、千年以上の歴史を持ちます。奈良時代に中国から伝わり、平安時代には貴族の間で楽しまれ、やがて庶民にも広まっていきました。

「日本茶の種類ってどんなものがあるの?」と検索する人が多く、特に煎茶と玉露の違いや、ほうじ茶や抹茶の特徴について関心を持つ方が多いようです。また、「カテキンが多いお茶は?」「低カフェインのお茶は?」といった健康に関する検索も増えています。

日本茶といえば、煎茶や玉露を思い浮かべる方が多いですが、実はさまざまな種類があります。蒸して作る緑茶、発酵させる後発酵茶、さらに特殊な製法で仕上げられたお茶など、多様な風味を楽しめるのが日本茶の魅力です。

また、日本茶は健康効果でも注目されており、カテキンやテアニンといった成分が豊富に含まれています。カテキンには抗酸化作用があり、免疫力向上や脂肪燃焼をサポートするとされています。一方、テアニンはリラックス効果が期待できる成分として知られています。

本記事では、日本茶の種類を簡単にわかりやすく解説しながら、各お茶の特徴や代表的な産地についてもご紹介します。この記事を読むことで、自分に合ったお茶を見つけられるようになりますよ。

日本茶の種類 - 4つの分類で理解する日本茶の基本

茶葉

日本茶は大きく分けて以下の4つのタイプに分類されます。

  1. 緑茶(不発酵茶):蒸して酸化を止めたお茶(煎茶・玉露など)
  2. 半発酵茶:発酵を途中で止めたお茶(釜炒り茶など)
  3. 後発酵茶:発酵を進めたお茶(阿波番茶・碁石茶など)
  4. 特殊製法茶:独自の加工を施したお茶(抹茶・粉末茶・水出し茶など)

それでは、それぞれの種類について詳しく見ていきましょう!

1. 緑茶(不発酵茶)- 最も親しまれているお茶

緑茶は、日本茶の中で最も一般的な種類であり、多くの日本の家庭で日常的に飲まれています。茶葉を蒸して酸化を止めることで、鮮やかな緑色と独特の風味を保つのが特徴です。種類によって甘み、渋み、香ばしさのバランスが異なり、さまざまな楽しみ方ができます。

緑茶の種類には、玉露、煎茶、深蒸し煎茶、玉緑茶、雁ヶ音茶などがあり、それぞれに特徴的な製法や味わいがあります。また、栽培方法や茶葉の加工方法によって香りや味が異なるため、飲み方やペアリングする食べ物を選ぶのも楽しみの一つです。

緑茶(不発酵茶)のお茶一覧
種類主な産地特徴適した温度
玉露京都府(宇治)、福岡県(八女)旨味が強く甘みがある高級茶50℃
冠茶三重県、京都府、鹿児島県玉露と煎茶の中間の味わい60 〜 70℃
煎茶静岡県、鹿児島県、三重県渋みと旨味のバランスが良い70 〜 80℃
深蒸し煎茶静岡県、鹿児島県濃厚で渋みが抑えられた味70℃
玉緑茶長崎県、熊本県まろやかで甘みがあり、柑橘系の爽やかさ70℃
雁ヶ音茶京都府、福岡県旨味と爽やかな香りの茎茶70℃

玉露(ぎょくろ)

玉露

玉露は、収穫前に覆いをして日光を遮ることで、旨味(アミノ酸)を強く引き出した高級茶。京都宇治の玉露が有名で、旨味と甘みが強く、贅沢な味わい。

製法
江戸時代末期に宇治で確立された製法。収穫前の20日以上、藁や寒冷紗で覆いをかぶせ、直射日光を遮断することで、渋み成分(カテキン)を抑え、旨味成分(テアニン)を増加させる。
主な産地
京都府(宇治)、福岡県(八女)
品種
さえみどり:甘みが強く、濃厚な味わい。ごこう:香りが豊かで、旨味が強い。
味と香りの特徴
旨味が非常に強く、まろやかで濃厚な甘み。渋みがほとんどなく、口当たりがなめらか。海苔のような独特の香りがある。
栄養成分と健康効果
テアニンが豊富でリラックス効果が高い。カフェインも多めで、眠気覚ましに適している。抗酸化作用があり、美容や健康維持に役立つ。
抽出時のポイント
50℃の低温でじっくり淹れると、甘みと旨味が引き出せる。2煎目以降は60℃程度に上げて、風味の変化を楽しむ。
おすすめの飲み方
贅沢な旨味を楽しむために、小さめの湯呑みに少量ずつ注ぎ、ゆっくりと味わうのがおすすめ。濃厚な甘みを活かし、和菓子(羊羹、練り切り)と一緒に楽しむと、より風味が引き立つ。
合う食べ物
和菓子(羊羹、練り切り)、繊細な味わいの和食(懐石料理、寿司)

冠茶(かぶせちゃ)

冠茶 出典元: 室園銘茶(福岡県八女市)

冠茶は、玉露ほどではないが、収穫前に覆いをして育てたお茶。玉露と煎茶の中間の味わいが特徴で、旨味と渋みのバランスが良い。

製法
収穫前の7〜10日間、茶葉を覆って日光を遮ることで、渋み成分(カテキン)を抑えつつ、旨味成分(テアニン)を増やす。玉露ほどの甘みはないが、煎茶よりもまろやかな風味が特徴。
主な産地
三重県、京都府、鹿児島県
品種
おくみどり:渋みが少なく、甘みが強い。やぶきた:標準的な味わい。
味と香りの特徴
旨味と渋みのバランスが良い。煎茶より甘みがあり、玉露よりも軽やか。爽やかでやや草のような香り。
栄養成分と健康効果
カテキンとテアニンがバランスよく含まれ、リラックス効果が期待できる。抗酸化作用も高い。
抽出時のポイント
60〜70℃のお湯で淹れると、甘みと香りがより引き立つ。2煎目はやや温度を上げるとスッキリした味わいが楽しめる。
おすすめの飲み方
煎茶より甘みがあり、玉露よりも軽やかなので、食事と一緒に飲むのに適している。焼き魚や煮物などの和食と合わせると、食事の味を引き立てながら、すっきりと楽しめる。
合う食べ物
軽い甘みのある和菓子(どら焼き、最中)。焼き魚や煮物などの和食にも合う。

煎茶(せんちゃ)

椿神茶

煎茶は、日本で最も一般的な緑茶で、日光を浴びて育ち、渋みと旨味のバランスが良い。

製法
江戸時代に確立された日本茶の主流。蒸すことで酸化を止め、鮮やかな緑色を保つ。
主な産地
静岡県(全国生産量の約40%)、鹿児島県、三重県
味と香りの特徴
渋みと旨味のバランスが良い。爽やかな草の香りが特徴。
抽出時のポイント
70〜80℃のお湯で淹れると、バランスの良い味わいが楽しめる。
おすすめの飲み方
和食との相性が抜群で、寿司や天ぷらと特に合う。冷やして飲むと、爽やかでスッキリとした後味になり、夏場にもぴったり。日常の食事のお供として最適。
合う食べ物
和食全般(寿司、天ぷら)、洋菓子(チーズケーキ、クッキー)

深蒸し煎茶

深蒸し煎茶

深蒸し煎茶は、通常の煎茶よりも長く蒸して作られ、味が濃く、渋みが抑えられている。

製法
昭和時代に静岡で生まれた製法。通常の2〜3倍の時間蒸すことで、まろやかな味わいになる。
主な産地
静岡県、鹿児島県
味と香りの特徴
濃厚なコクがあり、渋みが少ない。まろやかで飲みやすい。深い緑色の水色(すいしょく)。
抽出時のポイント
70℃前後のお湯で淹れると、甘みと濃厚な味わいが楽しめる。
おすすめの飲み方
味が濃厚で渋みが少ないため、朝の一杯やリラックスタイムに最適。クリーム系のスイーツ(カスタードタルト、プリン)と一緒に楽しむと、甘みがより引き立ち、まろやかな味わいを堪能できる。
合う食べ物
濃厚な味の和菓子(大福、羊羹)、クリーム系の洋菓子(カスタードタルト)

玉緑茶(たまりょくちゃ)

玉緑茶 出典元: お茶の三翆園(熊本県人吉市)

玉緑茶は、九州地方で生産される、精揉工程を省いた丸まった茶葉の緑茶。渋みが少なく、まろやかで甘みのある味わい。

製法
明治時代に長崎・熊本で広く生産が始まり、独自の製法として発展。
主な産地
長崎県、熊本県
味と香りの特徴
まろやかで甘みがある。渋みが少なく、軽やかな口当たり。柑橘系の爽やかな香り。
抽出時のポイント
70℃程度のお湯で淹れると、より甘みを感じやすくなる。
おすすめの飲み方
柑橘系の爽やかな香りが特徴のため、レモンやオレンジを添えるとより風味が際立つ。アイスティーにして、氷とスライスレモンを加えると、さっぱりとした飲み口が楽しめる。
合う食べ物
柑橘系の和菓子(ゆず羊羹、金柑大福)、軽い和食(茶漬け、そうめん)

雁ヶ音茶(かりがねちゃ)

雁ヶ音茶 出典元: 松北園(京都府宇治市)

雁ヶ音茶は、玉露や上級煎茶の茎部分を使用した高級茎茶。渋みが少なく、旨味と爽やかな香りが特徴。

製法
江戸時代から「茎茶」として庶民に親しまれ、高級茶の副産物として発展。
主な産地
京都府(宇治)、福岡県(八女)
味と香りの特徴
渋みが少なく、上品な旨味。爽やかな香りが広がる。軽い口当たりで飲みやすい。
抽出時のポイント
70℃程度のお湯でじっくり淹れると、旨味がより引き立つ。
おすすめの飲み方
軽やかな口当たりのため、塩味のある和菓子(塩豆大福、おかき)や白身魚の刺身と合わせると絶妙な組み合わせに。夏は水出しにすると、爽やかで飲みやすくなる。
合う食べ物
塩気のある和菓子(塩豆大福、おかき)、シンプルな和食(白身魚の刺身、湯豆腐)

2. 半発酵茶 – 日本版ウーロン茶?釜炒り茶の魅力

半発酵茶は、発酵を途中で止めることで、緑茶とウーロン茶の中間的な味わいを持つお茶です。釜炒り茶は日本における代表的な半発酵茶で、独特の香ばしさと爽やかな後味が特徴。中国のウーロン茶と異なり、日本の釜炒り茶は蒸さずに作られます。

半発酵茶のお茶一覧
種類主な産地特徴適した温度
釜炒り茶熊本県、宮崎県香ばしく爽やかな風味80℃

釜炒り茶(かまいりちゃ)

釜炒り茶 出典元: 瀬戸谷のめぐみ茶園(静岡県藤枝市)

釜炒り茶は、日本独自の半発酵茶であり、蒸さずに釜で炒ることで特有の香ばしさと爽やかな風味を生み出します。

製法
蒸し製法ではなく、摘んだ茶葉を直接釜で炒ることで酸化を抑え、独特の香ばしさと軽い口当たりを生み出す。中国のウーロン茶よりも発酵度は低く、緑茶に近い味わいになる。
主な産地
熊本県、宮崎県
味と香りの特徴
渋みが少なく、香ばしい風味が特徴。口当たりは軽く、後味がすっきりとしている。
栄養成分と健康効果
カテキンが含まれ、抗酸化作用が期待できる。通常の緑茶よりもカフェインが少なめで、胃に優しい。
抽出時のポイント
80℃程度のお湯で淹れると、香ばしい香りが際立つ。湯温が高すぎると渋みが出やすいので注意。
おすすめの飲み方
香ばしさが特徴なので、焼き菓子(ビスコッティ、カステラ)やナッツと一緒に楽しむのが◎。油っぽい料理の後に飲むと、口の中をさっぱりとリセットしてくれる。
合う食べ物
軽い塩味の和菓子(塩せんべい、豆大福)、さっぱりした和食(焼き魚、おひたし)

3. 後発酵茶 – 熟成が生む独特の風味

後発酵茶は、茶葉を発酵させることで独特の風味や深いコクを生み出すお茶です。発酵によって酸味や複雑な香りが生まれ、日本独自の伝統的な製法が受け継がれています。特に、阿波番茶や碁石茶は長い時間をかけて発酵させることで、他のお茶にはない個性的な味わいを持っています。

発酵茶は、中国のプーアル茶などと同じように、保存することで熟成が進む特徴を持っています。特に阿波番茶や碁石茶は、地域ごとの伝統製法が色濃く残る貴重なお茶として知られています。酸味が強めのお茶が多いため、飲みやすくするためにブレンドされることもあります。

後発酵茶のお茶一覧
種類主な産地特徴適した温度
ほうじ茶京都府、静岡県、鹿児島県香ばしくカフェイン少なめ90℃
京番茶京都府燻製のような香ばしい香り90℃
阿波番茶徳島県乳酸発酵による酸味とコク80℃
碁石茶高知県二段発酵による酸味と複雑な味90℃

ほうじ茶(ほうじちゃ)

ほうじ茶

ほうじ茶は、煎茶や番茶を焙煎して作られる香ばしいお茶で、カフェインが少なく、リラックスしながら楽しめるのが特徴。

製法
煎茶や番茶を高温で焙煎することで、香ばしい香りと琥珀色の水色を生み出す。焙煎の度合いによって風味が変わる。
主な産地
京都府、静岡県、鹿児島県
味と香りの特徴
焙煎の香ばしさが特徴で、苦みや渋みが少なく飲みやすい。カフェインが少なめで、就寝前にも適している。
栄養成分と健康効果
カフェインが少なく、胃に優しい。リラックス効果のある香り成分(ピラジン)を含む。
抽出時のポイント
90℃以上の熱湯で淹れると、香ばしさが際立つ。
おすすめの飲み方
焙煎の香ばしさが際立つため、ナッツやチョコレートとの相性が抜群。冷やして飲むと、スッキリとした後味になり、食事との組み合わせにも最適。
合う食べ物
和菓子(おかき、どら焼き)、洋菓子(ビスコッティ、チョコレート)

京番茶(きょうばんちゃ)

京番茶 出典元: 京都おぶぶ茶苑(京都府相楽郡和束町)

京番茶は、京都で作られる独特の後発酵茶で、燻製のような香りとさっぱりとした飲み口が特徴。焙煎の仕方によって風味が異なり、一般的なほうじ茶とは異なる個性的な味わいを持つ。

製法
煎茶や番茶の葉や茎を強火で焙煎し、燻製のような独特の香りを出すのが特徴。京都では古くから庶民のお茶として親しまれ、茶粥などの料理にも使われる。
主な産地
京都府
味と香りの特徴
焙煎の香ばしさに加え、燻製のようなスモーキーな香りが特徴。渋みが少なく、飲みやすい。
栄養成分と健康効果
カフェインが少なく、胃に優しい。食事と合わせやすく、日常茶として飲まれる。
抽出時のポイント
90℃以上の熱湯でしっかり淹れると、スモーキーな風味が際立つ。
おすすめの飲み方
スモーキーな香りが特徴のため、燻製チーズやスモークサーモンと合わせると相性が良い。京都では茶粥にして朝食として楽しむ習慣があり、食事としての楽しみ方もおすすめ。
合う食べ物
焼き魚や煮物などの和食、燻製料理(スモークチーズ、ベーコン)

阿波番茶(あわばんちゃ)

阿波番茶 出典元: まえばら農園(徳島県勝浦郡上勝町)

阿波番茶は、徳島県で伝統的に作られる後発酵茶で、乳酸発酵による独特の酸味と深いコクが特徴。

製法
摘み取った茶葉を蒸した後、木桶で乳酸発酵させることで酸味を引き出す。1か月以上発酵させてから天日干しして仕上げる。
主な産地
徳島県
味と香りの特徴
発酵による独特の酸味と、ほのかな甘みが調和。後味がスッキリしている。
栄養成分と健康効果
乳酸菌による整腸作用が期待できる。発酵によってカテキンが変化し、渋みが少なくなる。
抽出時のポイント
80℃程度のお湯で淹れると、酸味とコクのバランスが取れる。
おすすめの飲み方
独特の酸味があるため、発酵食品(漬物、チーズ)とよく合う。冷やして飲むと酸味がまろやかになり、さっぱりとした味わいが楽しめる。
合う食べ物
発酵食品(漬物、チーズ)、さっぱりした和食(冷奴、酢の物)

碁石茶(ごいしちゃ)

碁石茶

碁石茶は、高知県で作られる日本唯一の「二段発酵茶」。複雑な発酵過程を経ることで、独特の酸味と深いコクが生まれる。

製法
茶葉を蒸した後、カビ菌で一次発酵させ、その後乳酸発酵させる「二段発酵」を行う。発酵後、手作業で碁石のような形に切り分けて乾燥させる。
主な産地
高知県
味と香りの特徴
発酵特有の酸味と深みのある旨味。複雑な香りが楽しめる。
栄養成分と健康効果
乳酸菌が豊富で整腸作用が期待できる。ポリフェノールを多く含み、抗酸化作用がある。
抽出時のポイント
90℃以上の熱湯でじっくり淹れると、発酵由来の風味が引き立つ。
おすすめの飲み方
発酵による酸味と深いコクがあるため、味噌料理や酢の物と合わせると絶妙なバランスに。発酵食品との相性が良く、特にヨーグルトと一緒に摂るとユニークな味の組み合わせを楽しめる。
合う食べ物
発酵食品(味噌、ヨーグルト)、酸味のある料理(南蛮漬け、酢豚)

4. 特殊製法茶 – 特別な製法が生み出す日本茶の世界

特殊製法茶は、通常の製茶方法とは異なる加工を施したお茶の総称です。例えば、抹茶は茶葉を粉末にして飲むスタイルであり、水出し茶は冷水でじっくり抽出することで渋みを抑えた味わいを楽しめます。これらの茶は、独特の風味や飲み方のバリエーションが豊富で、シーンに応じた楽しみ方ができます。

抹茶は、茶道で使用されるほか、現代ではスイーツやドリンクにも多く取り入れられています。水出し茶は、暑い季節に爽やかに楽しめるお茶として人気が高まり、特に煎茶や玉露を使用すると甘みが際立つのが特徴です。

特殊製法茶のお茶一覧
種類主な産地特徴適した温度
抹茶京都府(宇治)、愛知県(西尾)濃厚な旨味と甘み、石臼挽きの粉末茶80℃(点てる)
粉末茶全国各地煎茶を粉砕したもので手軽に飲めるお湯や水で溶かす
水出し茶全国各地冷水で甘みが際立つ冷水でじっくり抽出

抹茶(まっちゃ)

抹茶

抹茶は、玉露と同じように日光を遮って育てた茶葉(碾茶 てんちゃ)を、石臼で挽いて粉状にしたもの。京都宇治の抹茶が最も有名で、鮮やかな緑色と濃厚な旨味が特徴。

製法
収穫前に日光を遮ることで渋みを抑え、旨味を増やした碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いて粉状にする。茶葉を丸ごと摂取するため、栄養価が非常に高い。
主な産地
京都府(宇治)、愛知県(西尾)
味と香りの特徴
濃厚な旨味と甘み。適度な渋みとコクがあり、クリーミーな泡立ちが特徴。
栄養成分と健康効果
テアニンが豊富でリラックス効果が高い。カテキンによる抗酸化作用があり、美容・健康維持に役立つ。
抽出時のポイント
80℃程度のお湯で点てると、まろやかな味わいが引き立つ。茶せんでしっかり泡立てると、口当たりが滑らかになる。
おすすめの飲み方
濃厚な旨味と甘みが特徴なので、和菓子(羊羹、どら焼き)との組み合わせが定番。アイスクリームやミルクと混ぜて抹茶ラテにするのもおすすめ。
合う食べ物
和菓子(羊羹、どら焼き)、抹茶スイーツ(抹茶ケーキ、抹茶チョコレート)

粉末茶(ふんまつちゃ)

粉末茶

粉末茶は、煎茶を粉末状にしたお茶。手軽に飲めるが、煎茶の渋みが強め。

製法
通常の煎茶を粉砕し、微粉末状にすることで、茶葉を丸ごと摂取できる形にする。抹茶とは異なり、煎茶由来の渋みが強い。
主な産地
全国各地
味と香りの特徴
煎茶の渋みが強く、濃厚な味わい。水やお湯に溶けやすい。
栄養成分と健康効果
カテキンを多く含み、抗酸化作用が期待できる。茶葉ごと摂取するため、食物繊維も摂れる。
抽出時のポイント
水やお湯に溶かして飲むだけ。ダマになりやすいので、しっかり混ぜる。
おすすめの飲み方
お湯や水に溶かすだけで手軽に飲めるため、忙しい朝やオフィスでの一杯に最適。シェイクに混ぜたり、ヨーグルトにかけたりするアレンジも◎。
合う食べ物
軽い甘みのある和菓子(最中、せんべい)、日常的な食事(おにぎり、焼き魚)

水出し茶(みずだしちゃ)

水出し茶 出典元: お茶の清香園(熊本県熊本市)

水出し茶は、冷水でじっくり抽出することで甘みが際立つお茶。渋みが抑えられ、まろやかな味わいが特徴。

製法
低温でゆっくり時間をかけて抽出することで、カフェインの溶出を抑え、テアニンを多く引き出す。煎茶や玉露を使うと、より甘みが強調される。
主な産地
全国各地
味と香りの特徴
渋みが少なく、まろやかな甘みが強い。冷たい水で抽出することで、すっきりとした後味が楽しめる。
栄養成分と健康効果
カフェインが少なく、寝る前でも飲みやすい。テアニンが豊富でリラックス効果が期待できる。
抽出時のポイント
冷水に茶葉を入れ、4〜6時間かけてじっくり抽出する。氷水を使うと、より甘みが引き立つ。
おすすめの飲み方
夏場にぴったりの水出し茶は、フルーツと組み合わせるとより美味しくなる。柑橘系やベリー類を加えると、フルーティーで爽やかな味わいが楽しめる。
合う食べ物
夏の和菓子(水羊羹、わらび餅)、フルーツ(柑橘系、桃)

お茶によって最適な温度が違うのはなぜ?

茶畑

お茶の種類によって含まれる成分が違うため、適切な温度や抽出時間が異なります。

日本茶の種類別 適切な抽出温度
お茶淹れ方目的
玉露・高級煎茶低温(50 〜 60℃)でじっくり淹れる旨味成分(テアニン)を最大限に引き出すため
煎茶・深蒸し煎茶中温(70 〜 80℃)で淹れるバランスの取れた渋みと旨味を出す
番茶・ほうじ茶高温(90℃以上)で淹れる香ばしさやさっぱりした風味を引き出す
水出し茶冷水で長時間抽出カテキンやカフェインが少なく、甘みが強調される

これらの違いは、茶葉に含まれるアミノ酸(旨味成分)、カテキン(渋み成分)、カフェイン(苦味成分)の溶け出しやすさに関係しています。

  1. カテキンやテアニンの溶出温度
    • テアニン(旨味成分) → 低温(20℃~70℃)で溶出しやすい
    • カテキン(渋み成分) → 80℃以上で多く溶け出す
    • カフェイン(苦味成分) → 90℃で速やかに溶出(20℃でも20分後には約70%溶出)
  2. 水出し茶の甘み成分について
    • 冷水でゆっくり抽出すると、カテキンの溶出が抑えられ、甘み(テアニン)が際立つ
    • また、カフェインが少なくなり、すっきりとした味わいになる
  3. 日本茶の伝統的な淹れ方の研究
    • 江戸時代から伝わる「低温で淹れる玉露」の技法が、旨味を最大限に引き出すのに理にかなっている
    • 高温で淹れると苦みや渋みが強くなり、バランスが崩れることが実験で確認されている

これらは科学的な裏付けが取れており、以下の学術論文やページから確認できます。

つまり、玉露や高級煎茶は低温で、普通の煎茶は70〜80℃、番茶やほうじ茶は高温が適していて、冷茶は冷水で抽出するため、渋みが穏やかで飲みやすい味わいになるということです。

それにしても、日本の伝統的なお茶の淹れ方は、成分の科学的な特性に基づいていて理にかなっている。当時は科学的な検証が行えなかったと思われる時代でも、最も美味しいお茶の淹れ方を習得していた昔の人たちはすごいですね。

シーンや気分に合った日本茶選びでお茶を楽しもう!

日本茶

日本茶には、緑茶だけでなく発酵茶や特殊製法茶など、さまざまな種類があります。それぞれに異なる製法や特徴があり、飲むシーンや好みによって選ぶ楽しみがあります。

  • 濃厚な旨味を楽しみたいなら → 玉露や抹茶
  • すっきりとした味わいを求めるなら → 煎茶や釜炒り茶
  • 香ばしさを味わいたいなら → ほうじ茶や京番茶
  • 酸味や発酵の風味を楽しみたいなら → 阿波番茶や碁石茶
  • 夏にさっぱり飲みたいなら → 水出し茶

また、日本茶はリラックス効果のあるテアニンや、健康に良いとされるカテキンを含んでおり、日々の生活に取り入れることで美容や健康維持にも役立ちます。

最近では、日本茶専門店やカフェでもさまざまな種類の日本茶が楽しめるようになっています。まずは気になる種類のお茶を試してみて、自分にぴったりの一杯を見つけてみましょう。日本茶の奥深さを知ることで、日々のティータイムがもっと豊かになりますよ!

お気に入りの日本茶を見つけて、ぜひ日常の一杯として楽しんでみてください。

日本茶と桜

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