
- 広島城観光ガイド2025|見どころ・料金・アクセスを現地レポート!木造復元前に必見の天守閣
- 広島城の魅力と見どころを完全網羅。天守閣の木造復元を控え、現在の姿を見られる貴重な機会。料金・アクセスなど観光に必要な情報を現地取材で徹底解説。平和公園からもアクセス抜群の城内を巡ろう。
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広島観光といえば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは「原爆ドーム」や「宮島」かもしれません。けれど、そんな定番だけでは満足できないあなたにこそ訪れてほしい場所があります。それが、広島市中心部にひっそりと佇む日本庭園『縮景園(しゅっけいえん)』です。
江戸時代初期に築かれたこの庭園は、都会の喧騒を忘れさせてくれる静けさと、四季折々の自然が織りなす美しさにあふれています。観光地としてはあまり知られていない穴場ですが、だからこそ、ゆったりとした時間の中で自分だけの“癒し”を見つけることができる場所でもあります。
この記事では、そんな縮景園の歴史や見どころ、季節ごとの楽しみ方、アクセス情報まで詳しくご紹介します。次の広島観光の候補地として、ぜひチェックしてみてください。
縮景園(しゅっけいえん)は、1620年(元和6年)、広島藩主・浅野長晟(あさのながあきら)により築庭された大名庭園です。中国の名勝を模して造られたことから、「縮景(景観を縮めた)」という名が付けられました。
園内には池や築山、茶室などが配置されており、江戸時代から現代まで、多くの文化人や藩主に愛されてきました。原爆投下により一度は壊滅的な被害を受けましたが、その後復元され、今では広島県立美術館と隣接する文化の拠点として、地元民や観光客に親しまれています。
大人 | 350円 |
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大学生 | 150円 |
高校生以下 | 無料 |
縮景園は、季節の移ろいを体で感じられる庭園です。春には桜が咲き誇り、夏は青もみじが涼しげに風に揺れます。秋には紅葉が鮮やかに園内を彩り、冬には静けさの中に雪景色が広がります。
訪れる時期によってまったく異なる景色が楽しめるのが、この庭園の大きな魅力です。ここでは、縮景園で出会える四季の美しさを、季節ごとにご紹介します。
春の縮景園では、色鮮やかな梅や約 130 本の桜が園内各所で花を咲かせ、訪れる人の目を楽しませてくれます。特に池のまわりに咲く桜と、芽吹いたばかりの新緑が織りなす色彩の対比は、春ならではの見どころです。
桜の時期には「桜まつり」が開催され、夜には園内がライトアップされます。昼間とは異なる幻想的な風景が広がり、昼夜を通じて春の魅力を味わえるのも縮景園ならではの楽しみです。
やわらかな光と優しい色合いに包まれる時間は、縮景園が持つ“癒し”の本質を感じられるひとときです。
夏の縮景園は、鮮やかな緑に包まれた静かな空間が広がります。もみじや松などの木々が濃く青々と茂り、庭園全体が涼やかな緑に染まるこの季節は、日差しの強い日でも木陰を歩くことで心地よく過ごせます。
また、園内にはあじさいの花が彩りを添え、雨に濡れた花と石畳の風景がしっとりとした趣を演出します。水のせせらぎや葉擦れの音とともに、視覚も聴覚も癒される夏の縮景園は、静かに過ごしたい人にこそおすすめです。
秋の縮景園では、園内の木々が赤や橙に色づき、落ち着いた華やかさが広がります。池の周囲や築山のあたりなど、園内各所で紅葉を楽しむことができ、庭園全体が秋の風情に包まれます。
見頃は例年11月中旬から下旬にかけて。この時期には「もみじまつり」が開催され、夜間には園内がライトアップされます。水面に映る灯りと紅葉が織りなす光景は、昼間とはまた違った幻想的な雰囲気を味わわせてくれます。
日中の静かな秋景色と、夜のきらめく庭園。どちらも楽しめるのが、秋の縮景園の魅力です。
縮景園の冬は、他の季節と比べて来園者も少なく、よりいっそう静けさが際立つ時期です。運がよければ、築山や灯籠にうっすらと雪が積もり、庭園全体が白に包まれたかのような景色に出会えます。
雪化粧した石組みや樹々の枝先、池の水面に漂う冷たさが、冬ならではの凛とした空気と調和し、庭園の静けさを引き立てます。実は縮景園が持つ本質的な美しさが際立つ季節です。
縮景園の魅力は、季節ごとの風景だけではありません。園内には、歴史や意匠が息づくスポットが点在しており、それぞれに個性と見どころがあります。
ここでは、縮景園を訪れたらぜひ立ち寄ってほしい代表的なスポットをご紹介します。散策の合間に、ぜひ足を止めてじっくり味わってみてください。
縮景園の中央に架かる「跨虹橋(ここうきょう)」は、園内を代表するアーチ型の石橋です。その優雅な曲線は、地上と天上を結ぶ虹に見立てて設計されたもので、1780年代後半に7代藩主・浅野重晟(あさのしげあきら)が、京都の庭師・清水七郎右衛門に造らせたと伝えられています。
原爆の爆風にも耐え、240年以上庭園の中心に佇む跨虹橋。四季の風景に溶け込むその姿は、縮景園の静けさと風格を象徴する存在であり、訪れる人の足を自然と止めさせる魅力があります。
清風館(せいふうかん)は、数寄屋造りの茶室です。簡素の中に美を宿す日本建築の美意識が随所に感じられ、庭園の静けさと調和するように建てられています。
1894年の日清戦争のときに大本営が東京から広島に移され、広島城が大本営となったことは有名な話ですが、実はここ縮景園が大本営副営となり、この清風館は明治天皇の居所とされました。
内部は通常非公開ですが、茶会などの行事が開催される際には一般公開されることもあります。
縮景園の中でもひときわ静けさを感じられるのが、園内に広がる竹林の小径です。まっすぐに伸びる竹が空を覆うように並び、周囲の音が吸い込まれていくような感覚に包まれます。
四季折々の風景に彩られる庭園の中でも、竹林は一年を通して凛とした美しさを保ち続ける存在。夏には涼しげな青竹の風が心地よく、雨の日にはしっとりとした趣が加わります。
人の少ない時間帯に訪れると、竹の葉が擦れる音や足元の砂利の音だけが響き、まるで時間が止まったような感覚に。賑わいから離れて、ひとときの静寂に身をゆだねたい方におすすめのスポットです。
特におすすめなのが、さくらまつりでのライトアップ。竹林の緑と桜のピンクとのコントラストが美しく、一見の価値有りです。
縮景園は、日本庭園の形式のひとつ「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」を採用しており、中央に広がる池のまわりを巡るように園路が整えられています。
出典元: 庭園マップ - 縮景園公式サイト
歩くたびに風景が変化し、一周するだけでまるで絵巻物をめくるようにさまざまな表情に出会えるのが、この様式の醍醐味です。
園内には築山や橋、茶室などが巧みに配置され、視線の移ろいとともに新たな景観が現れます。また、遠景に山並みを取り入れる「借景(しゃっけい)」の技法により、園の中にいながら広がりを感じさせる設計も見事です。
縮景園の設計美を感じたい方は、ぜひゆっくりと歩きながら、その変化の妙を楽しんでみてください。
縮景園の園内マップは、パンフレットにも掲載されています(日本語・英語・韓国語・中国語・フランス語)
なお、園内の一周コースの所要時間は約 40〜50 分、半周コースは約 20〜30分です。
縮景園は、華やかな観光地とは一線を画す、静けさと美しさに満ちた日本庭園です。四季折々の風景、歴史ある建築や橋、静かに佇む竹林といった景観が調和し、訪れる人の心をそっと整えてくれます。
日常の喧騒を離れ、ゆったりとした時の流れに身をゆだねる体験は、旅の中でもひときわ印象に残るものとなるでしょう。
広島を旅する際は、ぜひ縮景園を訪れてみてください。そこにあるのは、本物の美しさと、深く静かな感動です。