- 原爆ドーム、あの日から時を止めた証人。実際に訪れて初めて分かる、世界遺産が語り続ける平和の意味
- 【写真で巡る世界遺産】原爆ドームの歴史と見どころを徹底解説。あの日の記憶を今に伝える姿を、四季の風景を交えて。実際に訪れることで得られる特別な体験をご紹介します。
広島、平和への想いが刻まれた場所へ
世界で最初に原子爆弾が投下された地。その地に立つと、誰もが何かを感じ、何かを考えます。それは悲しみかもしれません。怒りかもしれません。そして、必ずや平和への強い願いが心に芽生えるはずです。
広島平和記念公園北エリアに佇む原爆ドームは、あの日から変わらず、私たちに語りかけ続けています。そして中央エリアにある広島平和記念資料館では、当時の記録と共に、平和への願いが大切に保管されています。この 2 つの場所を訪れるだけでも、きっと心に深く響く体験になります。
しかし、公園内には他にも、多くの人々の想いを形にしたモニュメントが存在します。ただ見るだけでは、その本当の意味を理解することはできません。なぜその場所にあるのか。どんな願いが込められているのか。誰のために作られたのか。
この記事では、原爆ドームと平和記念資料館はもちろん、公園内の見どころを「意味」と共に紹介していきます。また、限られた時間で効率的に巡れるよう、エリアごとの回り方も詳しく解説。写真と地図を交えながら、あなたの訪問をしっかりとサポートします。
きっとこの記事を読んだ後は、ただの「観光地」ではない、この場所の本当の価値が見えてくると思います。では、広島平和記念公園という特別な場所へ一緒に歩みを進めていきましょう。
広島平和記念公園
広島平和記念公園は、広島県広島市中区にある、原爆死没者の慰霊と世界恒久平和を祈念して開設された公園です。原爆ドーム、平和記念資料館などを有し、1945年8月6日に投下された原子爆弾の悲劇を忘れず、平和への願いを次世代に伝えるために作られました。国の名勝に指定されています。
- 営業時間
- 24 時間
- 定休日
- 年中無休
- 料金
- 無料
- 電話番号
- 082-245-0573
- 公式サイト
- https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/hiroshima-park/7480.html
- 駐車場
- 近隣にコインパーキングあり
- アクセス
- 本通駅
- 電車: 広島電鉄(路面電車)本通駅より徒歩 11 分
- 電車: アストラムライン 本通駅 西1出口より徒歩 11 分
- バス: 広島バス 平和記念公園バス停で下車目の前
- 所在地
- 〒730-0811 広島県広島市中区中島町 1-10
原爆ドーム
原爆ドームは、1996 年にユネスコ世界遺産に登録された、世界平和・核兵器根絶を訴える象徴的な建造物です。元は「広島県産業奨励館」という近代建築の館でしたが、原子爆弾の被害から奇跡的に一部が残ったものが保存され原爆ドームと呼ばれるようになりました。
原子爆弾が炸裂したあの瞬間に、現在と同じ場所にこの建物はいました。原子爆弾は原爆ドームの南東約 160m, 上空 600m で炸裂しました。
ここに来るからこそ感じられる空気と、静かに佇む歴史の生き証人からの問いに是非耳を傾けてください。
原爆ドームについて詳しく見る
広島平和記念資料館
広島平和記念資料館は、原子爆弾の被害やその後の復興を伝えるための博物館です。ここでは、広島に落とされた原子爆弾や、その当時の広島の様子を知ることのできる資料がとても豊富に展示されています。
広島平和記念資料館について詳しく見る
広島平和記念公園内にある見どころスポット
公園内は広く、設置されているモニュメントなども多いため、ここからは公園内に点在するスポットを、南、中央、北の 3 エリアに分けて紹介します。エリアごとに見て回れば、効率よく巡れます。
また、設置されているモニュメントなどには全て意味があり、それらを知ることでより深く心に響くと思います。
南エリア(正面入口付近)
南エリアは、広島平和記念公園の正面入口付近です。
祈りの泉
祈りの泉は、「原爆の焦土のなかで水を求めながら亡くなられた犠牲者の慰霊と恒久平和への祈りを込める」という目的で設置されています。
天気の良い日は、噴水の周囲に虹が見られます。
嵐の中の母子像
核兵器廃絶への限りない努力を呼びかけることを目的に建立されたこの母子像は、右手に乳飲み子を抱え、左手で幼児を背負おうとしながら、前かがみ姿勢で生き抜こうとする母の姿を表しています。
平和の塔
広島市の世界連邦都市宣言 20 周年を記念して建てられたこの塔は、一辺が 4m の五角錐になっており、5 つの面は世界の五大陸を表しています。
平和の門
平和の門は、49 の言語で「平和」と書かれているモニュメントです。フランスの芸術家の方が製作したパブリックアートになります。
このモニュメントは全部で 10 基あります。ダンテの神曲に出てくる「9 つの地獄」になぞらえ、原子爆弾を 10 番目の地獄としているため全部で 10 基建てられています。
中央エリア
中央エリアは、毎年記念式典が開かれるエリアです。
原爆死没者慰霊碑(広島平和都市記念碑)
原爆死没者慰霊碑は、世界最初の原子爆弾によって壊滅した広島市を、平和都市として再建することを念願して設立されました。この慰霊碑には、原爆死没者名簿(国内外を問わず原子爆弾で被爆し亡くなられた方の名前を記帳した名簿)が納められてます。
原爆死没者名簿が納められている石室
また、石室には以下の言葉が刻まれています。
「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」
平和の灯
平和の灯は、水を求めてやまなかった犠牲者を慰め、核兵器廃絶と世界恒久平和を希求するために設置されました。
この火は 1964 年に点火されてからずっと燃え続けており、「核兵器が地球上から姿を消す日まで燃やし続ける」と掲げられています。
平和の灯の近くまで行くことができます。
この手前のコンクリートですが、手首を合わせ、手のひらを大空にひろげた形を表現しており、その手のひらの上で火が灯っているようにデザインされています。
平和祈念像
平和祈念像は、原爆犠牲者を追悼し、人類悠久の平和を願うことを目的として設置されています。若い母親に抱かれて平和のラッパを吹く赤子の姿によってそれらが表現されています。
お母さんの表情もどこか柔らかで、「優しさや思いやりを以て平和を実現していこう」というメッセージを感じます。
被爆樹木アオギリ
被爆樹木アオギリは、もともとは爆心地から約 1.3km 離れた中区東白島町の広島逓信局の庁舎(現在の日本郵政グループ広島ビル)の中庭にありそこで被爆しました。
しかし、翌年に新芽が生え人々を勇気づけたことから、後にここへ移植されました。
爆心地側の幹半分が熱線と爆風によって焼けてえぐられましたが、その傷跡を包むようにして成長を続けたという非常に生命力に溢れたアオギリです。
人の手が入った何物かがこの世界や環境を破壊しても何も言わずに再生し、その姿から人々に力まで与えてくれる。自然は本当に偉大です。
北エリア
北エリアにも象徴的なスポットがあります。
原爆の子の像
原爆の子の像は、2 歳の時に被爆した佐々木禎子さんが 10 年後に白血病で亡くなったことをきっかけに造られた像です。同級生たちが「原爆で亡くなったすべての子どもたちのために慰霊碑をつくろう」と呼びかけたことがきっかけとなりました。
寄付も全国の学校や日本だけでなく海外 9 ヶ国から集まり、平和の声が世界に響いた一例となっています。
像の頂上に折鶴を捧げ持つ少女のブロンズ像が立っており、平和な未来への夢を託しています。
像の下の石碑には以下のように刻まれています。
「これはぼくらの叫びです これは私たちの祈りです 世界に平和をきずくための」
像の周りには全国から送られた千羽鶴やメッセージが添えられており、平和を願うひとたちの声や意思が、ここから世界中に発信されています。
平和の鐘
平和の鐘は、広島の悲願に立って全ての核兵器と戦争のない真の平和共存の世界を達成することを目指し、その精神文化運動のシンボルとして設置されました。
この鐘は誰でも鐘を鳴らすことができますので、訪れた際には是非、平和を祈って鳴らしてみてください。
あなたが鳴らした鐘の音が、誰かの心に響き、その誰かが平和を願って鳴らした鐘の音が、また誰かの心に響く。そんな連鎖が起きることを願っています。
今もなお平和を願う声が響く場所、広島。
広島平和記念公園を訪れる人々の数は年間約200万人。世界中から集まる人々は、それぞれの思いを胸に、この地に足を運びます。
ここには、原爆ドームという歴史の証人があり、平和記念資料館という記録の集積があり、そして数々のモニュメントという祈りの形があります。これらは決して過去の遺物ではありません。毎日のように新しい千羽鶴が「原爆の子の像」に届けられ、「平和の鐘」は訪れる人々の手によって鳴らされ続けています。
特に、海外からの来訪者が増える 8 月 6 日前後は、世界各国のメディアもこの地を訪れます。彼らは口々に「この場所には特別な空気が流れている」と語ります。確かに、ここには言葉では言い表せない雰囲気があります。
広島平和記念公園への訪問は、電車やバスで簡単にアクセスできます。本通駅から徒歩11分、または広島バスなら「平和記念公園」バス停で下車すればすぐです。24時間開園で入場料も無料。気軽に訪れることができる場所です。
私たちは今、この地から世界へ発信され続ける「平和」という願いを、次の世代へと確実に伝えていく必要があります。広島平和記念公園は、その大切な使命を担う場所です。
この記事で紹介した数々のスポットを実際に訪れ、その意味を知り、そこに込められた想いに触れてみてください。そしてその体験が、あなたの心の鐘に響くことを私たちは願っています。