大浦天主堂: 長崎観光の定番。信徒発見の舞台、悲しみと希望を語り継ぐ美しき世界遺産

大浦天主堂: 長崎観光の定番。信徒発見の舞台、悲しみと希望を語り継ぐ美しき世界遺産

長崎のキリスト教史を体感できる世界遺産「大浦天主堂」

長崎県長崎市にある「大浦天主堂」は、日本のキリスト教史において重要な役割を果たした世界文化遺産です。幕末の開国に伴い建設され、日本最古のカトリック教会として知られています。教会の美しいゴシック様式、国内最古のゴシック建築。そして歴史的事件「信徒発見」。この記事では、大浦天主堂の歴史的意義や見どころ、アクセス方法などを詳しくご紹介します。

大浦天主堂

大浦天主堂

長崎県長崎市に位置する大浦天主堂は、日本最古のカトリック教会であり、国宝に指定された世界文化遺産です。この神聖な場所は、長崎のキリスト教史において重要な役割を果たし、その美しいゴシック様式の建築と深い歴史背景は、今なお多くの観光客を魅了しています。

営業時間
8:30 〜 18:00
定休日
年中無休
料金
大人 1000 円 , 中・高生 400 円 , 小学生 300 円
電話番号
095-823-2628
公式サイト
https://oura-church.jp/
駐車場
近隣にコインパーキングがありますが、要注意ポイント有り。記事にて詳細を解説します。
アクセス
路面電車 大浦天主堂駅から徒歩 5 分
所在地
〒850-0931 長崎県長崎市南山手町 5-3

殉教者たちに捧げられた「日本二十六聖人」の物語

大浦天主堂は、1597 年に長崎で殉教した日本二十六聖人に捧げられた教会です。日本二十六聖人とは、キリスト教布教のために来日したスペイン人宣教師 6 名、メキシコ人宣教師 3 名、日本人信者 17 名の計 26 名で、豊臣秀吉によるキリスト教弾圧の中、信仰を貫き殉教しました。

日本二十六聖人

日本二十六聖人は、1862 年にローマ教皇ピウス9世によって列聖されました。「列聖」とは、カトリック教会が、殉教や徳のために模範となる人物を、正式に聖人の列に加えることを意味します。

日本二十六聖人

大浦天主堂の正面は、彼らが処刑された西坂の丘(現在の西坂公園)に向けて建てられており、殉教者たちへの敬意と信仰の強さを感じさせます。

大浦天主堂の歩み: 幕末から現代までの壮大な歴史

大浦天主堂

大浦天主堂は、幕末の開国に伴い、長崎居留地に在留外国人のために建設されました。

元治元年(1864年)に竣工し、翌年 2 月に祝別された大浦天主堂。その直後の 3 月に、浦上の潜伏キリシタンが訪れ、信仰を告白したことにより、日本のキリスト教史上、重要な「信徒発見」の舞台となりました。

明治8年(1875年)と明治12年(1879年)の増改築により、平面形式と外観デザインが変容し、外壁も木造からレンガ造に変更されました。しかし、大浦天主堂聖堂内の主要な部分は、そのままの姿が保たれています。

昭和8年(1933年)に国宝に指定され、原爆による損傷の修復後、昭和28年(1953年)に再度国宝に指定されました。

信徒発見: 潜伏キリシタンの勇気が歴史を変えた瞬間

大浦天主堂

江戸時代、幕府によるキリスト教禁教政策の下、キリスト教徒は弾圧を恐れて潜伏生活を余儀なくされました。潜伏キリシタンは、表向きには仏教徒を装いながら、密かにキリスト教の信仰を守り続けていました。

1865年3月17日、大浦天主堂を訪れた浦上の潜伏キリシタンが、宣教師のプチジャン神父の前で、自らがキリスト教徒であることを明かしました。これが「信徒発見」と呼ばれる出来事です。潜伏キリシタンたちは、長年の弾圧と秘密の信仰生活の末に、ようやく自らの信仰を公にすることができたのです。

信徒発見は、日本のキリスト教史において転換点となりました。それまで潜伏していたキリシタンの存在が明らかになり、幕府のキリスト教禁教政策の矛盾が浮き彫りになったのです。この出来事は、幕末の日本社会に大きな衝撃を与え、信教の自由への関心を高めました。

また、信徒発見は、世界のカトリック教会にとっても重要な出来事でした。長年の弾圧にもかかわらず、日本にキリスト教徒が存在していたことが明らかになり、日本での宣教活動の重要性が再認識されたのです。

息をのむ美しさ: 国内最古のゴシック建築「大浦天主堂」の魅力に迫る

大浦天主堂

大浦天主堂は中世ヨーロッパ建築を代表するゴシック様式を採用しています。現存するものでは国内最古となります。正面は、殉教の地である西坂に向けて建てられています。

教会の設計はフランス人宣教師のフューレとプティジャン神父によるもので、施工は天草の小山秀之進が担当しました。

その特徴的な外観は、多くの観光客を魅了します。聖堂内を飾るステンドグラスの中には、約 100 年前のものも含まれており、歴史を感じさせる美しさがあります。また、堂内にはマリア像やキリストの像が数多く祀られており、その荘厳な雰囲気は訪れる人々の心を打ちます。

大浦天主堂

キリシタン博物館で辿る長崎のキリスト教史

大浦天主堂

大浦天主堂に併設されたキリシタン博物館は、長崎におけるキリスト教の歴史を深く理解するための必見スポットです。博物館では、16世紀以降の長崎とキリスト教の関わりについて、貴重な資料や展示物を通して学ぶことができます。

キリスト教が日本に伝来してから、長崎はその中心地の一つとなりました。しかし、江戸時代に入ると、幕府によるキリスト教禁教政策により、信者たちは厳しい弾圧に苦しむことになります。キリシタン博物館では、禁教下で潜伏を余儀なくされたキリシタンたちの信仰と生活の様子を、当時の遺物や記録から知ることができます。

また、博物館には、大浦天主堂の歴史や建築に関する展示もあります。日本最古のゴシック様式の教会として知られる大浦天主堂の設計図や、建設に使用された材料などを間近で見ることができるのは、建築ファンにとっても見逃せない魅力です。

キリシタン博物館は、大浦天主堂の入館料に含まれているため、追加料金を支払うことなく見学できます。長崎のキリスト教史に興味がある方はもちろん、歴史や文化に関心のある方なら誰でも、キリシタン博物館での学びを通して、長崎の新たな一面を発見できるでしょう。

大浦天主堂を訪れる前に: 知っておきたい注意点とアドバイス

大浦天主堂を訪れる際には、いくつかの注意点を心に留めておくことが大切です。まず、大浦天主堂内部およびキリシタン博物館内では撮影が禁止されています。これは、聖なる空間としての雰囲気を保ち、参拝者の祈りや瞑想の妨げにならないようにするための措置です。訪れた思い出は、心に刻んで持ち帰りましょう。

また、大浦天主堂は今も教会として使われている神聖な場所であることを忘れないでください。ミサの最中や、信仰深い方々が祈りを捧げている際は、静かに見学するようにしましょう。大きな声での会話や、不適切な服装は控えるのがマナーです。

大浦天主堂は築150年以上の歴史ある建物であるため、急な階段やデコボコとした床など、バリアフリー化されていない箇所があります。特に、階段の上り下りの際は足元に十分注意が必要です。歩行が不安定な方や、小さなお子様連れの場合は、同伴者と一緒に慎重に見学するようにしてください。

さらに、大浦天主堂の敷地内は広くないため、混雑時は身動きが取りづらいことがあります。特に週末や祝日、長期休暇中は訪れる人が多くなる傾向にあるので、ゆっくり見学したい方は平日の訪問がおすすめです。

これらの注意点を踏まえつつ、大浦天主堂が持つ歴史的・文化的価値を感じ取る時間を過ごしてみてください。きっと、心に残る貴重な体験ができるはずです。

最もおすすめのアクセス方法は、路面電車+徒歩

大浦天主堂への最もおすすめのアクセス方法は、路面電車と徒歩を使っていくことです。

路面電車の大浦天主堂駅から大浦天主堂までの道のりには「グラバー園通り」があり、お土産店や飲食店が並んでいます。観光にもおすすめですし、小高い丘と海の景色など、雰囲気を存分に楽しめます。

グラバー園通り

グラバー園通り

駅からも徒歩 5 分と全く遠くないので、次に紹介する車でのアクセス問題も踏まえて、路面電車と徒歩で大浦天主堂まで行くのが最もおすすめです。

車での大浦天主堂訪問時の注意点と駐車場情報

大浦天主堂周辺は小高い丘になっており、駐車場があまり多くはありません。大浦天主堂の隣りにはグラバー園もあり、双方併せて来場者が多いことから、駐車場が満車で止められないリスクを考えると、基本的には車でのアクセスは控えることをおすすめします。

また、こういった事情から、民間の駐車場の駐車料金は 1 時間 500 円と比較的高額です。(しかし一応補足しておくと、私は全国を旅しますが、1 時間 500 円という駐車場料金は、観光地ではそこそこ見かける価格設定です)

地元でも評判が悪く、絶対におすすめできない民間有料駐車場

大浦天主堂の近くに「時間駐車場 フォレスト レイン」という有料駐車場がありますが、利用者が管理人から罵詈雑言を浴びせられるという報告が多発しています。心穏やかに観光したい場合は使わない方がよいでしょう。(詳細は、Google口コミを確認してください)

他、以下は接客面も含め地元でも評判が悪く、おすすめできない民間有料駐車場です。さらに、車のキーを預けなければならないため、利用リスクが高いです。気を付けてください。

大浦天主堂におすすめの駐車場

ではどこに止めるのが良い選択か?

最も近くておすすめはグラバー園前駐車場です。ここは 30分 200 円(1 時間 400 円)です。

この駐車場は、最も大浦天主堂、グラバー園に近いため、それを考えればこの価格設定でも納得できます。また、小高い丘にありますから、駐車場からの眺めも良いです。

少しくらい歩いたっていいから安い駐車場に止めたい場合は、市営駐車場を利用しましょう。

この中なら、長崎市営松ヶ枝町第2駐車場は大浦天主堂駅の付近なので、最初におすすめしたグラバー園通りも楽しめるためおすすめです。

正直なところ、血眼になって良い駐車場を探すくらいなら、大浦天主堂駅付近の駐車場に止めてしまうのがおすすめです。それくらい、距離は遠くありません。知らない土地の狭い道を走り回っている時間で、歩いて大浦天主堂に到着できます。

大浦天主堂が伝える、長崎の地に刻まれた悲しみと希望の物語

大浦天主堂

長崎の地に佇む大浦天主堂は、単なる観光名所ではありません。それは、長い年月をかけて築かれた信仰の歴史、そして平和への祈りを体現する場所です。

日本のキリスト教史において重要な役割を果たした大浦天主堂は、潜伏キリシタンの勇気ある行動「信徒発見」の舞台となりました。彼らの強い信仰心は、私たちに自由と平和の尊さを教えてくれます。

また、国内最古のゴシック様式建築として知られる大浦天主堂は、長崎の歴史と文化を物語る貴重な遺産でもあります。その美しい佇まいは、訪れる人々の心を惹きつけ、静かな感動を与えてくれます。

キリシタン博物館での学びを通して、私たちは改めて長崎の歴史の深さを実感することもできます。禁教の時代を生き抜いたキリシタンたちの想いに思いを馳せることで、現代を生きる私たちも、平和の尊さを再認識できるはずです。

大浦天主堂を訪れ、その歴史と美しさに触れることで、私たちは自らの心を見つめ直し、平和への願いを新たにすることができると思います。

大浦天主堂が今も静かに語り継ぐ、長崎の地に刻まれた悲しみと希望の物語。ぜひあなたも自身の五感で触れてみてください。

大浦天主堂

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